通りの看板を頼りにビルの階段を進み、扉の先へ。名古屋市内で3店舗を展開する「西原珈琲店」は、どのお店もちょっとわかりづらいロケーションにあり、秘密の場所を訪ねるような気分にさせてくれます。ここは、都会の喧騒から離れた、大人の隠れ家。蔵をモチーフにした店内に窓はなく、漆黒色の木造の重厚感とあたたかみのある照明が、昼夜問わず落ち着いた雰囲気を演出。モノトーンの空間に、店主が収集した絵画や骨董が上品な彩りを添え、ずらりと並ぶカップ＆ソーサーは上から吊り下げられた裏印にも注目です。

自慢のコーヒーはブレンド3種、ストレート9種のほか、「今月のコーヒー」をラインナップし、ホームページではさまざまな産地や農園の紹介も。常に良質で新鮮な豆を使うことにこだわり、注文を受けてから豆を挽き、ハンドドリップで一杯ずつ淹れることで香りと味が引き立ちます。コーヒーのおともにしたい自家製スイーツ各種の中でも、看板商品「西原プリン」は必食。低温でじっくりと蒸し焼きにした四角の分厚いプリンにバニラアイスを乗せ、キャラメルソースがたっぷりの贅沢な一品はSNSでも話題になっています。

細長い構造を生かした店内のテーブル席とカウンター席はどちらもプライベート感があり、思い思いのシーンで利用する人たちが続々と来店。「すべての席で居心地良く過ごしてもらいたい」という思いから、カウンター席にも背もたれが付き、文芸、食、音楽などの本や雑誌がそろうのもうれしい心遣いです。ゆっくりと時間が流れる中で、会話を弾ませたり、一人の世界に入り込んだり。つい長居したくなる安らぎがほのかな余韻となり、今日という日が充実します。