ノリタケとめぐる、京都の喫茶店 vol.02 時を刻み、記憶を紡ぐ|フランソア喫茶室
フランソア喫茶室
Retro
Cafe-Hopping
with Noritake
Introduction
1904年に前身となる「日本陶器合名会社」を創立し、120余年の長い歴史を紡いできたノリタケ。ご家庭用やギフトのほか、ホテル・レストラン・機内食器、そして日本独自の喫茶文化を作り上げてきた「喫茶店」でも多くご愛用いただいています。ノリタケのカップ&ソーサーと共に、さまざまなストーリーがある喫茶店を訪ねる人気連載シリーズ。第3弾となる今回は、日本を代表する歴史文化都市、京都編です。古都ならではの伝統や美意識に触れ、器が映す物語をたどる名喫茶へ。国内外の旅行者が行き交う街で、いつもと違う京都旅。きっと素敵な出会いと発見をもたらしてくれるでしょう。
今回のガイド役は
こちらのカップ&ソーサー
オマージュ コレクション カップ&ソーサー(雲母金彩花文)
西洋のデザイン様式と日本の美意識が融合し、独特の美しさや手の込んだ豪華な装飾で好評を博した、オールドノリタケへの敬意より誕生した「オマージュ コレクション」。こだわりのコーヒーカップが訪れたのは、京都の喫茶文化を花開かせた老舗の一つ「フランソア喫茶室」です。芸術を愛した創業者を慕い、集った人々のように、昭和にタイムスリップ。
時を刻み、記憶を紡ぐ
フランソア喫茶室フランソアキッサシツ
1934年、京都市の四条木屋町を下ったところにある町家を改装して開業。西洋の街角に佇むような一軒は、戦時下であった時代にも「文化と自由のオアシス」のような場であり、映画監督・新藤兼人や俳優・宇野重吉など、数々の文化人も通ったといわれています。昭和初期のデザインをほぼそのまま受け継ぎ、2003年には喫茶店として初めて国の登録有形文化財に指定されました。地元の常連から観光客まで、幅広い世代に親しまれています。
クラシック音楽が流れる
美しい部屋への逃避行。
tableware
オマージュ コレクション
コーヒーカップ&ソーサー(雲母金彩花文)19,800円(税込)
/ノリタケ
tableware(左から)
トレフォリオゴールド カップ&ソーサー5,500円(税込)
エイダン カップ&ソーサー(白)4,950円(税込)
/ノリタケ
名物レアチーズケーキがやっぱり食べたくて。
menu
「ケーキセット」(紅茶・レアチーズケーキ)1,350円(税込)
tableware
ノリタケ グランディール カップ2,420円(税込)
ノリタケ グランディール ソーサー1,595円(税込)
/フランソア喫茶室で使用
menu
「ウイスキー・ティー」1,650円(税込)
tableware
ノリタケ シャイン ゴールド カップ&ソーサー(廃番)/フランソア喫茶室で使用
tableware
イブニングマジェスティ カップ&ソーサー16,500円(税込)
/ノリタケ
時間帯や席によって
楽しみ方は人それぞれ。
みんなが集まる、止まり木のような居心地の良さ。
- 今回撮影したノリタケ、大倉陶園の商品は、ノリタケオンラインショップ、ノリタケスクエア名古屋 (ノリタケの森内)などでお買い求めいただけます。
- 画像はイメージです。実際に提供されるカップとは異なる場合があります。
Story
建物と人、文化と日常が交わる、
ロマン漂う名曲喫茶
豪華客船を思わせる店内には、白壁と天井のアーチ、ステンドグラス、赤いビロードの椅子が並び、モナ・リザなど名画の複製やクラシック音楽が調和します。「フランソア喫茶室」という店名は、画家フランソワ・ミレーに由来。画家を志した創業者・立野正一が芸術仲間と共に設計した建物や内装には、イタリアン・バロックやロマネスクなどの建築様式が取り入れられ、西洋への憧れが感じられる独自の世界観で、多くのファンを魅了してきました。1941年の大改装で形づくられたこの場所は、空襲や震災をくぐり抜け、当時の雰囲気を大切に守り続けています。
メニューの少女は、版画家・浅野竹二による木版画をデザインしたもの。モデルとなった創業者の娘はのちに二代目となり、現在はその娘にあたる近藤光さんが中心となって家業を担います。幼い頃から家族の働く姿を見て育った経験が、喫茶の基本スタイルにつながり、時代に合わせて工夫しながら受け継がれてきました。かつては大きなネルでまとめて淹れていたコーヒーも、いまは挽きたての豆を抽出する方法へ。「ウィンナー・コーヒー」「ウイスキー・ティー」など昭和の気配と遊び心が宿る一杯は、それぞれに似合うカップ&ソーサーで提供し、芳醇な香りと甘い余韻が広がります。名物の「レアチーズケーキ」と並んで人気の「特製プリン」は、2021年に京都市京セラ美術館とのコラボレーションによって復刻以来すっかり定番。トッピングのドライオレンジまですべて手作りの味が好評です。
店内の表情は一日の中で移ろいます。穏やかに過ごせる午前中、おしゃべりの声で賑わうティータイム、そして夜にはぐっと落ち着いたムードに。活気づく時間帯も、街の喧騒を離れてほっと一息つける時間帯も日常であり、長い年月を経て、さまざまな人生に寄り添ってきた「フランソア喫茶室」は、街の文化の一部ともいえる存在です。戦後、生き延びて戻った方が亡き戦友を思い出すために訪れたという初代から伝わるエピソード、学生時代を過ごした京都を離れ、何十年ぶりに再来店して「変わっていませんね」とキラキラした瞳で語ったお客様の姿——。店内のあたたかな空気に触れると、遠い記憶がふと呼び起こされ、懐かしさがじんわりと心に広がります。「店をいい形で残すには、人がいてこそ。お客様が来てくださり、従業員の生活があってこそ続けられます。これからも大事にしながら、皆さんに喜んでいただけることをできる限り続けていきたいと思います」と近藤さん。幾多の出会いと思い出が刻まれたこの場所で、カップを傾けるたび、過去と今がそっと結ばれていきます。
Shop info
| 店名 | フランソア喫茶室 |
|---|---|
| 電話 | 075-351-4042(ご予約不可店舗) |
| 住所 | 京都府京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184 |
| 営業時間 | 11:00~22:00(フードLO20:00、ドリンク・ケーキLO21:30) ※未就学児の入店はご遠慮ください。 |
| 定休日 | 無休 ※年末年始は休業 |
| 駐車場 | なし |
| WEB | https://francois1934.com/ |
| https://www.instagram.com/francois1934kyoto/ | |
| 最寄駅 | 阪急電鉄京都河原町駅から徒歩で約1分、京阪電車祇園四条駅から徒歩で約3分 |
- 誰もが喫茶の時間を楽しめるように、各店の撮影・利用マナーを守りましょう。
- 店舗の情報は取材当時のものとなります。営業時間・定休日
など、変更となる可能性があります。 - 画像はイメージです。実際に提供されるカップとは異なる場合があります。
Cup and Saucer
今回のガイド役
約120年もの歴史を重ねてきたノリタケには、数え切れないほどのデザイン画帖や卓越した職人技が蓄積されています。また、それらはノリタケの貴重な財産として次代の職人へと連綿と継承されています。膨大な情報やモノが氾濫しているこの時代だからこそ、本物を手にすることの喜びを知っていただきたい。そうした想いを胸に、機能とデザインを両立させた製品を作り続けています。
オマージュ コレクション
コーヒーカップ&ソーサー(雲母金彩花文)
19,800円(税込)
明治期から第二次世界大戦終結までに、森村組及び日本陶器合名会社(現ノリタケ)によって製造された海外輸出製品の数々。西洋のデザイン様式と日本の美意識が融合し、独特の美しさや手の込んだ豪華な装飾で好評を博した「オールドノリタケ」は、今現在も熱心なコレクターたちにより蒐集され、大切にされています。そんなノリタケデザインの原点ともいえるオールドノリタケへのオマージュとして誕生したシリーズが「オマージュ コレクション」です。
- 画像はイメージです。実際に提供されるカップとは異なる場合があります。
Travel Recommends
「フランソア喫茶室」と合わせて訪れたい、おすすめ京都観光とノリタケ・大倉陶園ゆかりの場所
-
© 京都錦市場商店街振興組合
京都錦市場商店街
400年の歴史があり、「京の台所」として親しまれる錦市場。東西約390メートルに渡る赤・黄・緑のアーケード街に120軒以上が軒を連ね、雨の日でも快適にお買い物ができます。京料理の料亭や割烹、おばんざいにも使われる新鮮な野菜、魚など旬の食材が一堂に集まり、お店の人から専門的な知識や食べ方などを聞くのも楽しみの一つです。江戸時代に活躍した画家・伊藤若冲は、錦市場の青物問屋の生まれ。生家跡を示すモニュメントや、各所で見られる絵にもご注目ください。
最寄駅
地下鉄四条駅・阪急電鉄烏丸駅から徒歩で約3分
-
© 京都迎賓館
京都迎賓館
来日した各国の賓客を接遇(おもてなし)するための国の迎賓施設。建物や調度品には、数寄屋大工、左官、作庭、截金(きりかね)、西陣織や蒔絵(まきえ)、漆など、数多くの日本を代表する伝統的技能の匠の技が用いられ、品格のある和風の佇まいを創出しています。洋食器は大倉陶園やノリタケの製品が使われ、晩餐会を彩ってきました。接遇が行われていないときは、日本語・英語ガイドツアー方式による一般公開(事前予約優先)を実施しています。2026年3月末までは、開館20周年を記念した特別な展示も開催されています。
最寄駅
京都市バス府立医大病院前停から徒歩で約7分、地下鉄今出川駅から徒歩で約15分