[大倉陶園]縁起・技法特集 色蒔き シリーズ
1919年の創立以来、日本における最高級の洋食器メーカーとして、美術的価値の高い磁器を作り続けてきた「大倉陶園」。「ノリタケ」の前身である「日本陶器合名会社」とともに、日本の洋食器文化の発展を牽引してきました。
「大倉陶園」の代名詞とも言える美しい「白磁」に「岡染め」「漆蒔」などの技法を凝らしたシリーズや、日本のメーカーならではのウィットに富んだ縁起ものなど、多くのコレクターの方々に愛されている「大倉陶園」の名品の中から、今回は「色蒔き」シリーズの魅力をご紹介します。
色の深み、艶に引き込まれるような美しさ
「色蒔き(いろまき)」は鮮やかな色彩と白磁の対比が美しい、シンプルながら存在感のある逸品。一つひとつ職人の手により様々な工程を経て均一に彩色する、大変手の込んだ器です。
大倉陶園は、創業者である大倉孫兵衛の「此上なき美術品を作り度し」という創業時の夢を具現化するために、数々の新技法を開発。独自の美を紡ぎ出してきました。
たとえば、他の技法では出せない色の深み・艶やかさを表現するための色蒔(漆蒔技法)。漆の上に絵具の粉を蒔き、それを綿で軽く擦りながら丹念に染み込ませていくこの技法。現在では手がかかりすぎるために、大倉陶園だけが保有する秘伝の技で世界から高い評価を受けています。
一人を楽しむくつろぎのひとときや、ご家族との団欒、お友達との気軽なティータイムに。
「色蒔き」の彩りが、心弾むような時間を演出します。
エンボスを掛け合わせた贅沢な逸品
「色蒔エンボス」シリーズは大倉陶園独自の伝統技法である「漆蒔(うるしまき)」と「エンボス」の二つの貴重な技法を一つの器に施した、贅沢な逸品です。
大倉陶園の伝統技法「漆蒔」は、白磁に漆を薄く塗り、上から絵の具の粉を蒔いて製作する大変難しい技法です。その漆蒔を用いているからこそ、艶やかな色を発色致します。
この器は更に、金色の模様を浮き出させる「エンボス」技法を施しています。これは型抜き直後の柔らかい成形生地に、ローラーを回転させながら模様を刻み込み、その部分のみ釉を施さず本焼きします。そして、その後さらに金を焼き付ける、大変に繊細で複雑な装飾技法です。
どちらの技法も高度の熟練を要するため、今日では大倉陶園だけが保持する、貴重な技能遺産となっています。
他の技法では得難い美しさがあります。手間を惜しまないおもてなしの心で、訪れる人をあたたかく迎える器です。
2019年、創立100周年を迎えた「大倉陶園」
ノリタケと大倉陶園
今から100年以上前、日本における本格的な洋食器製造の先駆者は、1904年に創業した日本陶器合名会社(現ノリタケカンパニーリミテド)でした。
その日本陶器の創設にあたって、森村市左衛門翁と共に創業の苦悩を分かち合ったのが、大倉陶園の創業者である大倉孫兵衛、和親(日本陶器初代代表社員)父子です。
日本陶器は輸出で躍進を続けていましたが、外国の賓客を迎える際に使用される食器を輸入品に頼っている状況を嘆いた父子は、1919年、私財を投じて「世界最高級の磁器を創る目的」で大倉陶園を創業しました。
以来、現在に至るまで、大倉陶園は「良きが上にも良きものを」の志を理念として数々の名品を作り続けてきました。
その作品は日本の文化と伝統に裏付けられた高級美術食器として、皇室をはじめ日本国迎賓館や一流ホテルなど各方面でご愛顧いただいています。