デザイン・技法次代へと
継承されていく職人技。

約120年もの歴史を重ねてきたノリタケには、
数え切れないほどのデザイン画帖や卓越した職人技が蓄積されています。
また、それらはノリタケの貴重な財産として次代の職人へと連綿と継承されています。

世界が心酔した
繊細な美しさ。

受け継がれる美

ノリタケは高い美意識を持ち続け、いつの時代にも決して妥協しない製品を送り出してきました。それはオールドノリタケ(明治後期〜第二次世界大戦終了後までに欧米に輸出した陶磁器)と呼ばれる昔の製品にも見ることができます。「金彩」「ラスター彩」「エナメル盛」「盛上」「金盛」「金点盛」「モールド」「玉子ボカシ」など、数え切れないほどの技法を開発し、海外でも高い評価を受けてきました。

当時は花生・飾り壺などのファンシーウエアが数多く輸出されており、それらに施された繊細な技法は欧米の人々を魅了していました。
21世紀の現在でもオールドノリタケの「美を追究するための技法」は受け継がれ、デザインをアレンジしたものが製品としてラインナップされています。

花銀彩百合

アールヌーボー時代に人気を博したオールドノリタケの花生けを現代風にアレンジしています。有機的な曲線美を持つ優雅なシェープに大胆な図柄と奥深い銀色が見事に調和しています。この銀彩は伝統的なノリタケの技法を忠実に継承した職人が、丁寧に手作業で施しています。

和花

画帖に残されたオールドノリタケの名作の中からモチーフを得た、現代の感性により蘇らせたシリーズです。どこか懐かしい色彩と華やかな金彩の中に、古来より日本で愛されてきた花々が咲き誇る優雅な一品です。純和風でもなく、純洋風でもない、どこかエキゾチックな世界が広がるこのシリーズにも、ノリタケの洗練された美学と哲学が凝縮されています。

現代にまで続く
熟練の手仕事。

技法の継承

「素描(すがき)」や「盛上」、「金盛」、「エナメル盛」など、明治時代に海外の人々を感嘆させた技法の数々は、さまざまな形で現代の製品の中に息づいています。
※素描(すがき):筆を使って素地上に直接画を描く手法

ノリタケらしいデザイン

ノリタケ製品が世に送り出される出発点、それは「商品企画」です。それぞれの時代の人々の食卓に何が求められているか、そしてノリタケには何ができるのか、常にこうしたテーマと向き合いながら、人々の暮らしを豊かにする提案をしつづけること。それこそがノリタケの使命であり、創立から続くわたしたちの信念です。

練り上げられた「企画」は「デザイン」というプロセスを経て、いよいよ本格的な生産に移行していきます。デザインはスケッチから始まりますが、さまざまなデザインプロセスの中で最も重視されることがあります。それは「最善」の結果を得るために「細心」の思いを込めること。ノリタケのものづくりのベースは常にそこに集約されています。今やデジタルの時代です。けれどもノリタケは「筆」を持つことに意義を見いだしています。意匠のスタートはあくまでも「手」で「描く」こと。

ものづくりの
達成感。

デコレーション

仕上げ工程で必要となるのはまさしくスペシャリストと呼ぶにふさわしい熟練した職人たちの技能です。例えば「金仕上」の工程では全神経を集中して繊細で均一な加飾をおこないます。その昔、欧米の人々がその高い技術力と美しさに驚いた日本の職人による技が確実に受け継がれ現代の製品にも息づいているのです。

ノリタケの製品に妥協はありません。半球盛と呼ばれる手作業による盛上げ技法が1枚のプレートに90箇所近く施される製品もあります。みなさんのお手元にあるカップやマグ、通常のプレートから楕円のアイテムまで、金仕上はすべて高度な技能を持った職人たちの手作業で施されています。こうした意匠を可能にするのは職人を育成し技能を継承し続けてきた企業風土があるからです。ノリタケの工場で製品作りに携わるスタッフは皆、人の手だからこそできる造形や表現があることによろこびと達成感を感じながら働いています。

ジョージアンターコイズ

オールドノリタケ時代の技法「エナメル盛」は、現在では「半球盛」技法として受け継がれています。この技法は小さくて美しい半球が、立体的に盛り上がっていることから感じられるシックな高級感が魅力です。 美しく立体的な半球体を表現するため一粒ずつ手作業で施されています。最近では様々な色の透明な絵具を用いた「ジュエル半球盛」などノリタケ独自の新しい技術が開発され、「ジョージアンターコイズ」シリーズには、真珠のように輝く絵具を用いた「パール半球盛」が施されています。「金盛」を現代的に表現した立体金装飾「金下盛」技法と鮮やかなターコイズブルーに「パール半球盛」がアクセントとなり、豪華で華やかな雰囲気のシリーズに仕上がっています。

光と影が生む
造形美を求めて。

造形美

ノリタケのデザインへのこだわりは絵柄だけにとどまるものではありません。絵柄を施す以前に、造形そのものがその食器のイメージを大きく印象付けるものだからです。全体のフォルムはもちろん、ハンドルや注ぎ口の形状、高台や蓋のつまみに至るまで、細部にまでこだわり抜いた造形美と、さまざまな絵柄が調和して、はじめて完成された美しさが生まれるのです。

ノリタケのラインナップの中には食器だけでなく「フィギュリン」と呼ばれる置物があります。このアート作品群への取り組みが、ノリタケの造形力を高めてきました。表現力に優れた「原型師」が塑像の元となる原型を造り、熟練した職人が緻密に収縮率などを計算しながら石膏型を削り出していきます。こうして出来た型により成形されたパーツを組み立て、焼成することによって、「フィギュリン」は完成します。

こうした「原型師」の感性や技能が食器の造形にも生かされることによって、ノリタケの食器は完成度の高いものになるのです。

飾兜(kazarikabuto)

伝統の意匠はそのままに、細部までこだわり作り上げられた飾兜。大鍬形の勇壮なフォルム、小菊の繊細なレリーフ、余計な装飾を潔く排除することでボーンチャイナのやわらかな白が上品な立体感を映し出します。お祝いに相応しい堂々たる風格を備えた飾兜は、モダンな空間にも調和する上品な仕上がりです。

ノリタケのものづくりへの姿勢は、こうして心と体に刻まれるのです。膨大な情報やモノが氾濫しているこの時代だからこそ、本物を手にすることの喜びを知っていただきたい。そうした想いを胸に、機能とデザインを両立させた製品を作り続けていくこと。またそこに結実しているいつの時代も変わらない「美しさ」。それこそがノリタケらしいデザインだと思っています。

日本の洋食器
ブランドとして。

新しい食器への挑戦

ノリタケは、欧州の文化であるディナーセットを日本で初めて製造にすることに成功し、以後、欧州製の洋食器に比類しうるものを目指してきました。同時に、「日本」のメーカーだからこそ生み出すことのできる「食器」にもこだわり、追求しています。和・洋・中といったジャンルにとらわれない日本独自の食文化に合ったスタイルの食器、また四季折々の美しさや自然を愛でるこころが息づく食器、これらを皆様に提案していくことは、日本の洋食器メーカーのパイオニアとしてのプライドです。

四季彩舞曲

ノリタケの創立100周年を記念して製作したものです。洋食器ではまず見られない漆黒をあえて施した個性的な商品です。日本の美しさを象徴する漆(うるし)の黒と蒔絵の金彩(沈金)を配して、食器の世界に日本の伝統美を表現しました。こうした挑戦から生まれたこのシリーズには、洋食器の伝統の中に日本の美意識が感じられる、ノリタケを代表するシリーズのひとつとなりました。

ローザロッサ

「ROSA ROSSA ローザロッサ」には、ノリタケが新たに開発した赤色絵具を使用しています。陶磁器の絵付けは高温での焼成が必要なため、セレンとカドミウムを含む絵具を使用することが一般的でした。このうち特にカドミウムは人体や環境に有害であるため世界的に使用が厳しく制限されている物質です。適切に絵付けされた食器はこれらの物質が溶出することはなく、人体には影響ありませんが、ノリタケは製造工程の安全性や環境への影響など、より高い安全性の配慮から、セレンとカドミウムを全く含まない新しい絵具を開発しました。

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